2013年07月25日

7/25 気合い注入 短歌5首

最高気温37.8度を記録した日の夜更けと、明けた日の歌



拍動を君指先に伝わせて締めても可いと我忘る夜

寝苦しき夜半に恋を思うかな 術無く灼かる真昼の名残を

北向きの窓に触れたる濃緑を捲り光らせ夜が明けゆく

蝉の声背中に乗せて塵を出す棄ててしまえと響く合唱

白き陽のせめて詩情に成らんかと重低音の歌姫を聞く
               (天野月子を聞きつつ)
posted by かみうお at 07:52| Comment(0) | かみうお | 更新情報をチェックする

2013年07月24日

7/24 指先

 足の爪に色をつけるなんてまともじゃないな、と随分昔聞いたような気がした。
 あの時、あなたがゆるせなかったのは、爪先ではなくて膝を立てて爪を染めるその、格好だったのだと今はわかる。あなたの中にそれは、無いものだったのだ。

 さて、今、私の部屋にはモノクロのポスターがかかっていて、その女性はまさに立て膝で爪を染めている。
 コルセットを着ける役が多かったその女優は、体を丸めていても力がある。
 目は外して見てみよう。女優という人たちは元々目力はあるものだから。
 脛にかざす指先はあいまいなようで、もう次をつかもうとしている。
 髪を耳にはさんで、どんな音も気配も逃さないように構えて。
 耽耽と、彼女は爪を塗る。まるで研ぐように。
 
 立て膝は、走る前の姿だと、とうとうあの時のあなたは気づかなかったのだなと思う。足の爪に塗られる色だけを見つめて。
 そして、私が今見ているのは、女優の指先。
 
 跳躍のための爪を研ぐように塗る、ペディキュアを持つ女の指先だ。


posted by かみうお at 19:56| Comment(0) | かみうお | 更新情報をチェックする

7/23 溶けかけた

 あっついねー、と帰宅してまずわたしは猫に語りかける。
 白い猫は、一声鳴くと、熱を持った体をすりよせて涼を取る。猫の体温は人間より高いから、人間は良い保冷剤らしい。こっちはたまったものじゃないけれど。ああ、幸せだけど暑いなあ。
「ちょっと離れてー、お願い。冷蔵庫に入れさせて。」
冷蔵庫の前でかがんでいたら、背中に上って、首に巻きついてきた。
 だめだ、暑い。どうしようもない。

 私は食後にとっておくはずのアイスを今食べることにした。
「ねこさーん」
「なー」
「あなたのせいで、アイスが一つ減りました。」
そのまま冷蔵庫の前であぐらをかいて、アイスのカップのふたを開けた。猫は首から降りて、ふんふんとアイスの匂いを嗅ぎ、そのままごろりと寝転がった。

 溶けかけたアイスの口当たりは抜群だ。
 バニラアイスのように転がる猫の腹を撫でる。ふわふわとなめらかだった。
posted by かみうお at 09:06| Comment(0) | かみうお | 更新情報をチェックする

7/22 価値のわからない

「そういうわけで、この時計はあなたにあげる」
「いいの?ひいおじいさんの形見じゃなかったっけ。」
「大事にしてくれる人にあげるようにって遺言なのよ。」
「100年以上前の時計だよね。うわっ、チェコ産だって。レアだねえ。」
「ひいおじいさん、エンジニアだったからね。ドイツ語達者だったし、東欧好きだったのかもね。」
あんたならそういうのの価値がわかるでしょうよ、と祖母がいう。
 明らかにアンティークだから、私じゃなくても価値はわかるでしょうよ、と謙遜したらそうじゃないのよと祖母が返す。
 そうじゃない価値をあんたならわかるでしょ、と重ねられた。

 見込まれた嬉しさを、面映ゆく感じながら、光栄です、と答えておいた。
posted by かみうお at 08:59| Comment(0) | かみうお | 更新情報をチェックする

7/21 空に咲く花 (祖父の思い出 祖母から)

 ノモンハンの激闘で、奇跡的に生き残った祖父の写真がある。写真からも快活だったと分かる祖父が無精髭も痛々しくやつれて、呆然と座っている。対戦車戦を体験し、あまりの酷敗ぶりに口にすることも憚られた戦い。
「この後、上官から『航空隊の試験を受けないか』って勧められたんだって。」
その時を思い出して祖父が語ったひとこと

  陸地は混みあってるから
  空は広いし


 空に希望を見出した祖父は戦死したけれど、テストパイロットになる夢を持っていてよく語っていたらしい。
 
 飛行機雲を見ながら、祖母と孫が思い出す。もう遠い人の近い思い出。
posted by かみうお at 08:54| Comment(0) | かみうお | 更新情報をチェックする

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