2013年08月03日

7/30 神を名乗る

 ドアの前に座っているこどもがいる。なんというかステレオタイプの昔話のこどもで、おかっぱに和服。白目のない両目が真っ白な顔に光っている。座敷わらしでいいのかしらと尋ねると、あなたはうなづいた。何をしにきたの、というとお宅の貧乏神と交替に来たと言った。わたしは、あれも長い付き合いだし、追い出しても貧乏が恥になる世の中では寝心地も悪かろうからと説明すると、それでは私も行き場がないとめそめそしだした。しょうがないので手を取って、いっしょに住めばいいじゃないと家に入った。神を名乗るものがまた増えた日。
posted by かみうお at 08:35| Comment(0) | かみうお | 更新情報をチェックする

7/29 孤立

 帰国して、一学年を重ねて周囲は皆年下になった。異人さんと呼ばれて振り返れば教師が私の髪を見て首を傾げている。外国にいたら髪の色も変わるのかしらと。そんなことは無いと思うけれど内地の人の髪は本当に黒いのだった。一年進んでいた私は最初はことばでからかわれ、無視していたら、人が道を開けるようになった。その頃また教師から言われた。あなたは毅然としているね、と。毅然とは良い言葉だ。うっとうしさから遠ざかり、ひたすらに技術を求めることができるではないか。孤立を上回る自由。やっと手に入れた。
     (女学校四年で帰国した祖母の語りから)
posted by かみうお at 08:30| Comment(0) | かみうお | 更新情報をチェックする

7/28 心霊体験

 父が運転する車に姉と乗っていた時のことです。峠を登り切る手前に女が立っているのが見えました。夜中でしたので父は気の毒がって乗せていこうかと言ったのですが、峠の幽霊の話を聞いていた私と姉は怖がって止めました。後続の一台が、その女を乗せたのが見えました。暫く走りますと道が広くなり、分岐するところがあります。そこで、後続車と並んだのですが、その車には運転手一人しか乗っていませんでした。(友人からの聞き書き。場所は福岡県冷水峠。30年以上前の話)※峠を登り切る前に妖が立っていて、車に乗せてはならないという伝承は各地にある。香港にも同じような話があるとか。

 
posted by かみうお at 07:44| Comment(0) | かみうお | 更新情報をチェックする

2013年08月02日

7/27 愛と称して嘘を囁く

 まってたよ。これは愛。あなたなんかに使う時間はないよ。これは嘘。どこが違うの、と私は聞いた。あなたが言うには、愛は時間を使う事という。だって時は命だから。だれかのために命を使うって、それが愛だとあなたはいう。でもあなたなんかに使う時間はないよ、が何故嘘なのと聞いたら、あなたのことばかりに時間を使ってるものと、あなたは答えた。嘘を言うようにあなたが愛を語る。愛と称して嘘を囁く。
posted by かみうお at 16:24| Comment(0) | かみうお | 更新情報をチェックする

7/26 懲りない人

 たまったものに目をやって、たまった課題に目をやって、動けばすむのにと言い聞かせることを何度やってきたものかと私はその日抱えたものを庭に移した。北側の塀に沿ったそこの草を抜き、地を掘って掘って、スコップの丈ほども掘って。それから埋めて埋めて埋めて。なくしてしまえなくしてしまえと言葉も添える。生きて生きて生きて死んで死んでと毎日人はくり返す。あやまちも善業も。目をやらない内にそれはまたたまる。たまったものを土に埋め、なにかの芽になるかしら。伸びた茎の先に咲く花は蓮の色。泥を吸って咲く花の色。
posted by かみうお at 16:19| Comment(0) | かみうお | 更新情報をチェックする

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